QT(クワイエット・タイム)の聖書箇所を選ぶにあたってしてはいけないこととは?

自然界には、一度も訪れたことのない訪問地に案内役も地図もなしにどんぴしゃりで辿り着ける生き物がたくさんいる。その一つにオオカバマダラという蝶々がいる。春になるとオオカバマダラのメスはアメリカの南部からカナダまで片道1500キロの旅に出る。それはカナダで卵を産むためである。メスは卵を産みつけるとすぐに死んでしまう。この卵から孵った幼虫は秋になるとかつて母親がいたアメリカの南部に迷うことなく帰っていくのだ。母親は皆死んでいるから、この蝶々の群れの中に目的地を知っているのは1匹もいない。ところが数万の大群が迷うことなく目的地に戻るのだ。


オオカバマダラが目的地を間違って飛んで行ったり、飛び立つタイミングを間違ってしまったら、これは命に関わることになる。種族が絶滅してしまう。自然界の中で帰巣本能のある動物は、何がなんでも帰るべき場所、帰るべき時をきっちりと正確に守るのだ。それは彼らの中にしっかりと焼き込まれているのだ。


エレミヤ書8章7節
「空のこうのとりも、自分の季節を知っている。山鳩も燕も鶴も、自分の帰る時を守る。・・・」


さらに不思議なことがある。実はオオカバマダラは特定の植物にしか卵を産み付けないのだ。その植物の名前はトウワタ(唐綿)という。
そして卵から孵った幼虫は皆一斉に同じ行動をとる。なんと葉っぱの真ん中をくり抜いて食べるのだ。二つに折ってかぶりつくとちょうど円盤状の穴が開くイメージを思い浮かべるだろうが、実際は二つに折らないままで真ん中だけくり抜いて食べる。これは虫にとっても至難の業である。端っこからかぶりつくと食べやすいのにわざわざ真ん中をくり抜いたものを食べるのだ。それはなぜか。


実はこの植物は有毒植物なのだ。特に齧られたり、切り取られたりするとその傷口のところに全身の毒を送り込んで身を守るのだ。ところがこの蝶々の幼虫は円形にくり抜いた部分だけを食べるので、初めからその部分にあった薄い毒だけを体に取り入れることになるのだ。その結果幼虫は毒に対する耐性を持つ。要するに免疫力をつけて毒に負けない体質になるのだ。そのようにした後、片っ端から葉っぱを食べるのだが、いくら食べても毒にやられることはない。


最初の一口で薄い毒を取り入れて耐性をつけてから大量に食べる、このやり方をどうして卵から孵ったばかりの幼虫が知っているのだろう。誰にも教わらないのに誰がマスターしたのだろう。幼虫の中でプログラムされているとしか説明できないのだ。神はこのように賢いプログラムを植え付けた。
ちなみにこの毒性植物を取り入れるために蝶々自身が毒性昆虫になる。それで鳥はこの蝶々を食べないのだ。遠距離飛行をするのに彼らが鳥の餌食にならないのはこのトウワタの毒のおかげなのだ。なんとうまくできているのだろうか。


人間も、御言葉によって変えられていくように神によってプログラムされている。私たちにとって毒だと思えるような箇所、つまり心が刺されたり、自分が嫌だと思うようなみ言葉も取り入れないと、霊的耐性がつかない。なので、自分の願うように、求めるように、それを投影しないで聖書を読むということが大事になる。要するに、どの御言葉が今の自分に合うのか、あるいは「どうやって聖書はこの私を励ましてくれるのだろうか」というように、自分の願望を投影しないことが大事である。

では、国際ギデオン協会が発行する新約聖書のはじめに、「悲しみで心が塞ぐ時」とか「試練にあった時」など「あなたの助けになる聖書の言葉」というページがあるのはいけないことなのか。それは、初心者というか、聖書を手にしたことのない人、馴染みのない人には良い手引きとなる。しかし、キリストにあって救いにあずかり、クリスチャンとして私たちが生きていくにあたって、聖書をどのように読むかという時に私たちが一番覚えておかなければならないことは、自分の願望を投影しないということなのである。自分の願望を投影して聖書を読んでしまうと、結局選り好みするようになる。


QT(クワイエット・タイム)の聖書箇所を選ぶ時には以上の点に注意していただきたい。神と個人的に過ごす時間をやめてしまうと、霊的貧血になって弱くなり、悪魔の格好の餌食となってしまう。
神のことばに帰ること、これが人間に初めから備わっている帰巣本能である。それはオオカバマダラや渡り鳥以上に優れているが、人は罪を犯したために、その本能が眠ってしまった。自然界と違って、その本能を意識的にかつ努力して目覚めさせて、習慣化させる必要がある。ぜひQT(クワイエット・タイム)を習慣化していただきたい。最初の2〜3週間が一番大変だが、それを乗り越えたら、自分にとってなくてはならない習慣となっていることに気づくだろう。クワイエット・タイムを持つことで、ストレスに立ち向かう力や危機管理能力、人間関係を適切に持つ能力が徐々に備わっていく。

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